2007年05月22日

実録「380°」〜あるおっちゃんの3日間〜

私が演出したお芝居が、昨日終了しました。
記念として、この3日間のドキュメントをまとめました。
こんな経験、もう出来ないんだろうなぁ…。

ブーン⊂二二二(^ω^)二二二つ

5/18(金)
朝8時半に近所に住む照明家(元劇団四季・役者の旦那でもある)を車に乗せ、大道具に使うベニヤを積んだエルグは横浜に向けて出発。
金曜日の保土ヶ谷バイパスは明らかに渋滞の様相。
という訳で、横浜町田から横浜青葉まで高速で進み、そこから第三京浜港北ICへ。そこから三ツ沢まで高速を使ってから会場である横浜STビルに入りました。

会場に入ってからは、まずは大道具の仕込み。
大道具といっても、箱馬を使って作る箱2つと、映像を投影するスクリーン。
さらに、照明の仕込みと音響のレベル合わせも行ないます。
しかし、これらの作業が意外と難航して、気付いたら退出時間。
客席作りが終わらぬままにこの日の作業は終了となりました。

終了後、家が同方向のメンバーを車で送っていき、最後に残った男3人でラーメンを喰らい、帰宅。
もうヘロヘロなので寝ようと思ったら、今回音楽を担当してくれた友人から電話。
明日仕事の為、来るのが夕方になってしまうとの事。
劇内で使用する拳銃、練習中にポッキリ折れてしまい、ボンドで修理したものの、もしかしたら音が出せない可能性があった為、銃声のSEでバックアップを用意したのですが、それの練習が夕方まで出来ないのは厳しい為、深夜1時ごろから車で彼の家のある調布へ。
CDを受け取り、更に曲についての意見(ボーカルが歪んでいるように聴こえる、というもの)の対策について打ち合わせをし、帰宅したのが3時頃。
それから小道具系の印刷物をしたり、なにやらPCに向かい、寝たのが4時半。そこから考え事(急に音響ブースに入る事になったので、ビビってたとも言うww)をしていたら、いつしか5時。それが、この日の最後の記憶でした。

ブーン⊂二二二(^ω^)二二二つ

5/19(土)
朝7時半。目覚ましの音で目が覚めました。あぁ7時半か。あれから2時間半か。頭重いなぁ。
そんな事を思いながらフッと目を閉じて、次の瞬間。
時計は10時半を指していました。
今日の集合時間は10時。

○| ̄|_

大慌てで出発。
どうやって行けば、一番早く着けるか考えた結果、今日は渋滞が少ないと判断。
駐車場代は痛いものの、自分への戒めとして車で行くことに。

昨日より45分ほど早く到着。電車で行くよりは30分くらい早く着きました。

到着後は、まずひたすら謝った後、稽古と劇場で異なる動きについてサラッと確認した上で、あとは音響操作の練習に従事。
この時点で、自分が演出である事をほぼ忘れています。
本来、音響は昨日も出てきた、今回の音楽を全て1人で作曲・打ち込みしてくれた彼にお願いする予定でしたが、仕事で来られない事が木曜日に発覚した為、操作は私が担当する事に。
今回の公演に出演してくれた役者の1人が、元劇団四季の音響だった為、彼の協力でレベルを取って、そのキューシートとのにらめっこが続きます。

学生時代、照明ブースに入った事がありますが、千秋楽の時、終了後のバラシの事を考えていて、きっかけを見逃して無人の舞台を数秒作ってしまった事があるため、正直ブースはトラウマです。
まんじゅう以上に怖いものが、俺にはあるのです。

きっかけ稽古終了後、通し稽古。ただ、ブースからは舞台が見にくく、演技のダメ出しが出来ません。
取り急ぎ「集中する事」を徹底しつつ、初の試みである公開リハーサルへ。
産地さんの公演は、日曜日の一日しか行なわれないので、その日に予定があると見てもらえません。
そのため、土曜日のリハーサルを公開にして、見に来てもらうというのもありかな、と思った次第です。
結果的には、私のマイミクジュンジー一家と、役者のご家族、産地内で結婚した2人の子供マイちゃん(2歳半)、飛び込みで観賞していただいたお客さまに見て頂きました。

リハーサル内容については、持ってきたビデオカメラで帰宅後にチェックする事にして、本日は解散。
ここまで出トチリを一回もしていないのは、作った資料がそこそこ出来が良かったから。
やっぱり準備をしっかりやると、ミスは減るね。
今後に生かそう、この経験。

帰宅後、公開リハのビデオを見ながら再び印刷物などを。
結局ちゃんと見られず。

という訳で、明日の朝は生で見ながらチェックしていこうかな、と決意して2時半ごろ就寝。

ブーン⊂二二二(^ω^)二二二つ

5/20(日)
とりあえず今日はちゃんと起きられました。
人前に出る(前説担当な私)に当たり、事務所からも「髪型などに気を使いなさい」と厳命されていたので、悩んだ結果うっすらと掛かった天然パーマを生かす目的で無造作ヘアを選択。
とはいってもこちとら3年以上坊主だった身。整髪剤なんて一切持ってません。
という事で、寝癖みたいな感じで出発。
今日も荷物の積み込みがあるので車で。結局3日とも車で行きました。1回くらいは原付で行こうと思ったんだけどね。

劇場には30分遅れで到着。
とりあえずサラッと流す練習を開始。
ここでもテーマを「集中」に置いてチェック。
ところが、今までと違う段取りを取った役者がいたため(それも主宰と副主宰)、ここで空気を締めておこうと思い
「集中しろって言っただろう! バカヤロウ! お前ら裏でミーティングしてろっ!」と怒鳴りました。
ピーンと張り詰める空気。
よし、これで締まったかな、と思い、次のシーンの練習を始めようと思ったら、そのシーンにもあの2人が出てやんの。ミーティングなんか出来ないじゃんww
ちょっとかっこ悪いと思いました。

んで、練習終了 → メイク開始。
フラッとトイレに行ったら、役者がワックスで髪の毛をいじってます。
そのワックスをちょっと借りて髪の毛をいじってみたら、このウルトラ猫っ毛(少ないとかつけなくていいww)がしっかり立ち上がるじゃないですか!
ここに、私の無造作ヘアは完成したのですw

そして、昼の部開場直前。既に数名のお客様が到着している中、事件は起きました。

照明家が「あれ、何で明かりがついてるんだろう」と呟きました。卓に行ってみると、全てのフェーダー(明かりを調節するレバー。上がると点き、下がると消える)が下がっている状態。
機械のトラブルでした。
照明家が色々調べても直る気配はありません。
劇場の方に見ていただいてもダメ。
開場時間は既に10分過ぎています。

悩んだ結果、舞台の照明は点いたままなものの、もうお待たせできない為開場することに。
真剣に「上演中止」という4文字が頭に浮かんでいました。
役者にも状況を説明し、最悪暗転の無い状況も覚悟をしてもらい、その中で最善の対策を取る照明家。
会場内は定員の60名を大きく上回るお客様に溢れかえる会場。
刻々と過ぎる開演時間。
開演時間10分を過ぎ、限界を感じた為お客様にはトラブルが起きた事を正直にお伝えし、今しばらくお待ちいただくようお願いし、対策の状況を見守ります。
開演時間から15分を過ぎようとしたとき、照明家から「行けます!」の一言。
点きっぱなしになった照明の回路を組み替え、あとはその場で手動で対策するという応急処置を講じながら、本番を迎えることに。
照明家の本領が発揮される状況になりました。

そんな中、舞台の幕は上がりました。

確かに100%満足できるものではありませんでした。
しかし、最低限作品としてお出しする事が出来ない内容では無かったと自負しています。
照明家、心からお疲れ。

ちなみに本番中、ブースにじわっと映る人の顔。
ゆ、幽霊? と思ったら、照明家の娘マイちゃんが、客席からブースを覗き込んでましたwwwww
マイちゃん、君のパパは今ものすごくカッコいいぜ。

そして、本番終了。
見に来てくれたマイミクとみしゅうさん、トビーさん、N村さん、高校からの親友で、この劇団の前身「サプライズ」にも参加してくれたひろくん、マイミクひで。とSyoujiさんのAre団コンビに心からお礼しつつ、すぐさま夜の部の準備。
夜の部前に照明は復旧。どうやらコンピュータの暴走だったようです。

んで、夜の部は10人くらいかな、お客様と思ったら、思った以上にご来場いただき、嬉しい嬉しいと本番に臨みました。

序盤のテンションがやや低いと思いましたが、それ以外は大変良い出来でした。
最後だから、ミス無く、充実感を持てるように頑張ってくれ、というお願いに、非常に高いレベルで役者たちは応えてくれました。

昨日PCで作ったキューシート(全3枚)を一枚ずつ捨てるたびに、終わるなぁと思いつつ、集中力を持続して本番を終えました。
レベルを見間違えて予定よりたいそう大きな音を出してしまった事も2度ほどありましたが、少なくとも出トチリは全く無く、本当にホッとしました。

本番を終えて、役者が待つロビーに出ると、役者たちも満足げな表情を浮かべています。良かった…。

見に来てくれたマイミク北海くまころりとぶっち、マイミクもとちご一家、マイミクCastaDivaを始めとした小学校の同級生チーム(俺と小学校からの友達である主宰が呼んだ)、親友ラユチくんに深々とお礼し、お芝居は終了しました。

しかし「お芝居はバラシまでが本番よ(杉村春子/1976)←ウソ」の言葉通り、金曜日に1日掛けて作ったセットを、文字通りぶっ壊す。
ベニヤから釘を抜き、バキバキに割り、小さく砕いて「燃えるゴミ」として出せるようにしました。
破壊活動って、楽しいね。

セットを壊すと「芝居って一瞬の夢みたいなもんだなぁ」と改めて思います。
その瞬間のために、何ヶ月も時間を掛けて、100名に満たないお客様に提供する。
一見するとあまりに非効率な芝居というメディアですが、だからこそ、役者の「生」がそこにあるから、舞台というメディアは無くならないんだよなぁと改めて感じました。

そして、壊したセットなどを車に詰めようと、朝から停めていた駐車場に向かった時、恐ろしい文字を発見しました。
1時間400円だと思ってた駐車場代が、1時間600円だったのです。

○| ̄|_

財布には6千円しか入ってません。駐車場に停めていた時間は11時間。目眩しながら精算機に向かうと「6,600円」。
泣きそうになりながら小銭を見ると、なんとか700円発見!
残金100円になりながらクルマを出し、荷物を積み、劇場を後にしました。

そして、産地の主宰から、今公演を以って産地をしばらくお休みとする事が発表されました。
10年間、あちこちにガシガシぶつかりながらやってきたみんな。
1回、全身の青タンをキレイにする事も必要なんじゃないかな、と思います。

そして俺からは、今公演の3賞とMVPを発表しました。

敢闘賞…指原望美
(感情の表現が苦手だったのに、それが本当に上手になった事を評価した)

技能賞…mikko
(本能で演技するタイプの役者が、今回は役に近付くという本来のアプローチに取り組み、結果を出した事を評価した)

殊勲賞…金子健壱朗
(非常にセンスのいい役者で、順調に進めば相当いい役者になれると思わせる点を評価した)

MVP…kana
(私の要求に100%応えてくれ、芝居をキッチリ締めた事は最大限評価されるべきと感じた)


もちろん、プロの誇りを発揮してくれた神谷憲司氏や照明家、最高の音楽を創造してくれたマイミクはるき、当日手伝ってくれた皆やそのほかの役者たちも本当にいい仕事をしてくれました。
俺が演出をする、ということは、俺がものすごく好きな芝居が目の前にあったという訳で、それはつまり俺のわがままに皆が付き合ってくれた、という事でもあり、本当に本当に幸せな時間でした。

皆さん、本当にありがとう。
あなたたちが、本当に大好きです。

この後全員で町田に移動し、3時まで打ち上げ(費用はお祝いでまかないました。大感謝!!)。
酒を飲まない私は、多摩センターと八王子在住のメンバーを送り届けて帰宅しました。
因みに車内では、先日の日記でちょっと触れたショックな出来事で相当盛り上がりました、俺が。
是非が分かれたので少し安心しました。俺完全に間違ってる訳ではないのね。


今回のお芝居は、俺にとっても本当に思い出となる作品になりました。
自分が関わった作品で、自分で泣くなんて、恥ずかしいことこの上ないんだけどね。

見てくれた皆様、見られなかったけど、一瞬でも心の片隅にこの芝居を思ってくれた皆様、関わってくれたすべての皆様、本当にありがとう。
この想いを胸に、明日からも歩いていきます。
posted by キチソン at 03:01| Comment(0) | TrackBack(0) | キチスペ長文 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は1年以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。